仕事本

要約『ファンベース』ーファンを大事にすることが重要な時代 

みなさんこんにちは。

今回は、佐藤尚之さんが書かれた、
ファンベース ──支持され、愛され、長く売れ続けるために
の内容を要約してお届けします。


僕がこの本を読んで知りたかったのは以下のこと。

・どうすればファンになるのか?
・どうすればファンとのつながりを長期的に保てるのか?
・「ファン」はどうすれば喜んでくれるか?

 

結果的には、この本は↑の問いにバッチリ答えてくれる内容でした。

□SNS・ブログのファンをつくりたい
□自社商品にファンをつくりたい
□今いるファンをもっと楽しませたい

↑のいずれかに当てはまる人には、ぜひ読んでほしい内容となっています。

福ねこ
福ねこ
最後までよろしくね。

ファンベースとは?

crowded people wearing LED bracelet raising hands in front of stage

まず、ファンベースという言葉の意味について。
それは以下のとおり。

 

ファンを大事に、ベースにし、中長期的に売り上げや価値を上げていく考え方。

 

ベース、つまり「ファンを大事にすることを土台とする」といったイメージ。

間違いやすいポイントとして、

今いるファンを大事にするということは、「商品・サービスの改善をしない」ということではありません。

ファンは、「サービスの進化を企業と一緒に見届けたい、夢みたい」と思っています。

つまり、価値変化の試行錯誤を企業とともに行うのがファン。

イメージしやすいのは、ミュージシャンのファンです。

あなたも、好きな歌手に「ずっと同じ楽曲を演奏してほしい」と思っているわけではないですよね。
僕たちは好きなアーティストに対して、「どんどん新しい音楽を出して、私たちをドキドキワクワクさせてほしい」と思っています。

せつやくま
せつやくま
次に、「ファンベースが必然な3つの理由」を見ていこう。

ファンベースが必然な3つの理由

photo of Vibrant concert

ファンベース的発想がなぜ必要なのか?

それは以下の3つの理由から。

1.ファンは売り上げの大半を支え、伸ばしてくれるから
2.ファンを大事にすることが時代背景的に重要になってきているから
3.ファンがファンを連れてきてくれるから

福ねこ
福ねこ
1つずつ見ていこう。

1.ファンは売り上げの大半を支え、伸ばしてくれるから

person working on laptop

「20:80の法則」をご存知でしょうか?

これはビジネス的に、
「2割の顧客が売り上げの8割を支えている」
ということを表しています。

「20:80の法則」は、多少の前後はあれど、「少数の顧客が売り上げを支える」という意味では、ほとんどの商品ジャンルであてはまります。

たとえば、本書に掲載されていた「20:80の法則」の例は以下のとおり。

「20:80の法則」の例

・百貨店では、顧客数の上位20%で売上の6割強を占める
・雑誌では、上位21.1%の人が総アクセス数の63.8%を占める
・コンビニエンスストアでは、20.8%の人が利用総数の58.5%を占める
・著者の友人が経営する「家事の宅配サービス」では、全体の約27%のファンが売上の約75%を支えている
・ある書店チェーンでは、約30%の顧客が売上の約80%を支えている

 

あなたが取り扱っている商品ではどうでしょうか?

まずは、ファンが売上の何%を支えているのか、調査するところから始めてみましょう。

せつやくま
せつやくま
新規顧客を獲得するよりも、すでに商品を購入してくれている既存客にアプローチして、アップセル・クロスセルを期待する方が得策かもしれないね。

2.ファンを大事にすることが時代背景的に重要になってきているから

city skyline under cloudy sky during daytime

一昔前、バブル時代には、新規顧客獲得を第一の目的にする「マス・マーケティング」が主流でした。

ですが、時代は流れ、以下3つの変化から、「マス・マーケティング」だけでは難しくなってきました。

1.日本社会の変化
2.超成熟市場による変化
3.情報環境の変化

福ねこ
福ねこ
1つずつ見ていこう。

1.日本社会の変化

baby lying on green textile

日本の人口は猛スピードで減少しています。

計算上、毎年100万人もの人口が減っていき、言い換えると、「千葉市」や「仙台市」が毎年ひとつずつなくなっていくようなペースです。

つまり、全体としての「新規顧客」が物理的に減っているということです。

それなら、「今買ってくれて、指示してくれているお客さん」を大切にする方が大事だと言えます。

人口減少と並んで問題となっているのが、高齢化
あなたの身の回りの60歳以上の人物を思い浮かべてみてください。

たとえば、会社のベテラン社員。

かなり保守的な消費行動を取っているのではないでしょうか。

お金を派手に使っているような高齢者は、あまりいないような気がしますよね。

それもそのはず、老後の不安に備えてお金をため込むようになるからです。

それに、たいていの老人は新しい商品に興味は示しません。

 

(アップルの新商品発表会に目を輝かせているおじいちゃんって見たことありませんよね。)

 

むしろ、僕たちがどれだけスマホの利便性をプレゼンしても、ロクに聞いてくれません。

自分が慣れ親しんだものを使い続けます。

新規顧客の獲得は年々難しくなっています。

このことからも、「今、自社の商品を使ってくれているお客さん」にフォーカスを当てた施策を打つことが重要だと言えるでしょう。

2.超成熟市場による変化

person in white top

ユニクロに行けば安くて機能的でおしゃれな服が。
コンビニの食品も依然と比べてかなりおいしくなった。

ー世の中にはモノがあふれています。

ほとんどの世代でモノが足りており、多くの商品が高い普及率を示している市場のことを「成熟市場」と呼びます。

で、現在の日本社会は、それを大きく越えた「超成熟社会」になっていると筆者は言います。

言うまでもなく、モノがあふれている市場で新たに新規顧客を獲得していくのは難しい。

モノを選ぶとき、僕たちの前にはたくさんの選択肢が立ちふさがります。

選択肢が多すぎると、「決断疲れ」を引き起こし、僕たちは商品を選べなくなることがあります。

そんな中で、「すでに買ってくれたことがある」「買うモノがすでに決まっている」ファンの存在価値は、とても高いと言えます。

3.情報環境の変化

アメリカのIDC社の調査によると、世の中に流れている情報量は、2011年の段階で「世界中の砂浜の砂の数(1ゼタバイト)より多い」そうである。

(『ファンベース』より)

情報はとんでもない勢いで増えています。

これは本書が発売された時点での情報なので、今ではもっと数が増えていると思われますが、YouTubeでは、世界中から1分間に300時間分の動画がアップされるそうです。

300時間は、12日半に換算できます。

福ねこ
福ねこ
たった1分間に12日半分の動画が生み出されてるって、ちょっとクラクラしちゃうよね。

 

筆者はこの情報環境を「情報砂の一粒時代」と名付けました。

 

世界のすべての情報を分母とすると、どれだけ個人・企業が気合いを込めた発信をしても、それは「砂の一粒」のような微かなもの。

つまりは、ターゲットにリーチするのが非常に難しいということです。

仮に届いたとしても、押し寄せる情報の波に飲み込まれ、すぐに忘れられてしまいます。

その一方で、こんな情報の洪水のような状況下でも、ファンはわざわざ興味を持って見に来てくれます。

それなら、新たな顧客探しをがんばるより、今いるファンを大事にすべきと言えます。

3.ファンがファンを連れてきてくれるから

couple holding hands while walking on grass field during daytime

みなさんが新しいドラマやアニメ作品を見るきっかけって、どういうものでしょうか?

CMや雑誌のPRということもあるでしょうが、その1つに「友人のオススメ」もありますよね。

この「友人のオススメ」って、かなり信憑性が高くないですか?

なぜなら、友人とは「価値観が近い人」だから。

広告でゴリ押しされるよりは、友人の口コミの方がよっぽど行動につながります。

それに、友人の声って「利用者のリアルな声」でもあるので、宣伝コピーよりも強く心に届きます。

 

ちなみに筆者は友人から「ワンピース歌舞伎」を熱烈にオススメされ、ものは試しと見に行った結果、筆者自身が別の友人に熱烈にオススメするくらいファンになってしまったそうな。

 

要は、「ファンに宣伝してもらえる」ということ。

ファン自身の言葉による知り合いへのオススメは、企業やインフルエンサーが宣伝するよりも効果があります。

そのために、周りに広めたくなるような価値をファンに提供していく必要があります。

ファン化してもらうには?

woman in white and black striped shirt standing on yellow sunflower field during daytime

では、そもそもただのお客さんを「ファン」にするにはどうすればいいのでしょうか?

本書に掲載されていたのは以下の2点でした。

 

買ってくれた客を放っておかない
・施策を単発のぶつ切りにせず、明確に設計する

 

現在ぶつ切りになっている単発施策、短期キャンペーン施策を意識してつなげていきましょう。

「ファンの入り口に立った人の好意を資産化して積み上げる」作戦です。

ファンの人数を増やすのではなく、「1人の好意を積み上げていく」ことを意識しましょう。

「全員にファンになってもらいたい」と望んではいけない

selective focus photography of X logo

NGなのは、「全員にファンになってもらおうとすること」。

理由は、世の中にはいろんな価値観の人がいて、
「なんと言われようとライバル社のサービスのほうが好き」
という人もいるからです。

たとえば、学校のクラスでも、価値観が合う人は少人数しかいなかったはず。
つまり、「全員をファンにしようとするのは無理がある」ということです。

また、あなたが「ダークな雰囲気」のマンガを好んで読んでいたとしましょう。
そのマンガが、ある回から急に真逆の層を取り込もうとして、「明るい雰囲気」になってしまったらどうでしょう?

「あの独特の雰囲気が好きで見てたのになぁ…」とガッカリしますよね。

福ねこ
福ねこ
それと同じで、全員に好かれようとせず、特定の層を狙い撃ちする方がいいということだね。

ファンの支持を強化する方法

crowd cheering band during night time

では、今いるファンの支持をさらに強固なものにしていくためには、どうすればいいのでしょうか?

その方法は3つあります。

 

1.その価値自体をアップさせること

2.その価値を、他に代えがたいものにすること

3.その価値の提供元の評価・評判をアップさせること

 

ギモンドリ
ギモンドリ
どういうこと?

1.その価値自体をアップさせること

person holding brown and black round fruits

価値を上げるには、「共感」を強くしましょう。

共感を強くする方法を3つの要素に分けて解説します。

A.ファンの言葉を傾聴し、フォーカスする

まずは、支持の理由・共感した部分・愛されポイントを知ることからはじめます。

それには、ファンミーティングが最適です。

理由は、ファン同士で「偏愛ポイント」を発見できるからです。

ファンミーティング後は、その内容を生かして改善に活かす。

「偏愛」を発見したら、そのポイントをキープし、強調していきます。

ファンミーティングに集まるためのハードル(お金・アンケート等)は高く設けましょう。

その方が、より濃いファンを選別することができます。

ファンミーティングでは、商品開発ストーリーや開発者の本音を語りましょう。
ファンは開発裏話やここだけの話が大好き。
ファン会議では、「好きになったきっかけ」「一番好きなところ」「偏愛ポイント」「改善ポイント」を語ってもらいまyそう。

ファンミーティングの場では他の商品を売ろうとせず、そのファンが他の人に営業してくれることに期待しましょう。

B.ファンであることに自信を持ってもらう

ファンであることに自信をもってもらうためには、「他のファンのオーガニック」な言葉を読むことが必要。

この商品を好きな自分はイケてる!
友人に勧めてもバカにされない。

と思ってもらうことが重要です。

そのためには、自社サイトにファンやユーザー、有識者の声を
・アクセスしやすく
・シェアしやすく
・より自信がもてるように
載せておきましょう。

SNSやブログでの声もしっかりシェアしましょう。

C.ファンを喜ばせる

商品開発などの出発点を「ファンの言葉」にしましょう。

新規顧客よりもファンを優先することを習慣化しましょう。

たとえば、新商品情報をメディアよりも真っ先にファンに知らせるなど。
「あなたは大切な存在」とアピールしましょう。

2.その価値を、他に代えがたいものにすること

woman in black t-shirt lying on white sofa
この商品しかありえない!

と、ファンの中で生活に欠かせない存在になれば、より強固な支持を得ることができます。

そのためには、「愛着」を強くすること。

商品にストーリーやドラマ性をまとわせるのは、そのための一手です。

利用者の悩みを解決するためにどんな想いを込めたのか。
どれだけの時間をかけたのか。
どれだけ試行錯誤をしたのか。

そういうストーリーやドラマが、ファンに愛着という感情を起こさせます。

創業秘話、苦難、開発話をコンテンツ化し、アクセスしやすくしておきましょう。

ポイントは、モノの背景に「人」がいることを感じさせることです。

3.その価値の提供元の評価・評判をアップさせること

gray concrete cross on gray concrete surface

「それは誠実なやり方か?」と自分に問いかけてみましょう。

 

・騙しではないか?
・下品ではないか(どぎつい色やコピー)?
・無料期間からしれっと有料プランに移行させるようなことはしていないか?

今よりもっと、「商品・ブランドを愛してくれるファンの目」を意識しましょう。

失敗したことも隠さず自社サイトに載せておき、ファンに対する誠実な態度を見せましょう。

また、本業を細部まで見せ、丁寧に紹介するも信頼を得るための手段です。

研究開発や製造工程、制作過程をちゃんと見せることで、

この企業の商品は間違いない

という信頼を強くすることができます。

せつやくま
せつやくま
たとえば、機械で作っていると思っていたのが、実は人の手作業だと知ったときに、軽く感動することってあるよね。

ファンをコアファンにする方法

Ark of the Covenant

ファンの支持をさらに強くして、「コアファン」になってもらうにはどうすればいいでしょうか。

福ねこ
福ねこ
ファンの支持をさらに強くするための3ヶ条、いくよ!

1.共感→熱狂

three men carrying women surrounded by many people during daytime

共感をグレードアップさせ、「熱狂」に変える方法は以下のとおり。

大切にしている価値をより前面に出す

「ミッション」「大切にしている価値」「経営者からの意思」…。

こういったことを謙虚にしまっておく時代は終わりました。

どんどん前面に押し出していきましょう。

大切にしている価値を「スローガン」にして打ち出すのも有効

全体に向けて打ち出すのではなく、4%しかいないコアファンに向けて打ち出しましょう。

SNSでは、お知らせだけでなく、根本的な考え方や志、努力と失敗を投稿していきます。

身内として扱うことで、コアファンにする。

four people on seashore

コアファンとは、必要以上にへりくだらない「対等な関係」を目指します。

「VIP扱いされて当たり前という困ったコアファン」をつくってはいけません。

そのためにも、「身内」という関係性を意識しましょう。

「身内として役に立ちたい」、「仲間として一緒に何かをしたい」と思ってもらう。

これがコアファンを逆に喜ばせます。

せつやくま
せつやくま
居酒屋の常連が忙しいときにお店を手伝うのと同じだね。

たとえば、ネスカフェアンバサダーは、「アンバサダー」という役割を与えています。

2.愛着→無二

boy holding Tony's chocoloney pack
期待を上回る体験やサプライズで感動を与えましょう。

ネスカフェの「アンバサダー・キャンプ」というクローズイベントでは、なんとサプライズで米米CLUBの石井竜也さんが登場しました。

ファンと共創するのも有効な手段。

カルビーでは「じゃがりこ」にちなんで「じゃがり校」というイベントが行われており、そこではコアファンと商品開発を行います。

ファンが味の案を出したり、キャッチフレーズを考えています。

じゃがりこは毎月のように新しい味を出していますが、実は、「じゃがり校」でコアファンと創った商品が年間トップの売り上げを記録することが多いそうです。

3.信頼→応援

shallow focus photography of man in white shirt

信頼してもらえる存在から一歩踏み込んで、「応援してもらえる存在」になりましょう。

ギモンドリ
ギモンドリ
そのためにはどうすればいいの?

等身大の発信を増やす

 

たとえば、マイクロソフトはある日不意に、社員のオフィスでの姿をうつしただけのビデオブログを公開しました。

そのビデオには人間臭さがよく出ており、楽しそうにワイワイ仕事をしている姿もあれば、堂々と自社への文句を言っていたりして、やらせ感もありません。

その姿を見て、Apple信者の筆者も心を揺さぶられたそうです。

ソーシャルグッドを追求する

ファンが堂々と応援しやすくするために、社会貢献などの「おおっぴらにできる要素」を少しずつ増やしていきましょう。

本書に載っていたやりとりが参考になるので載せておきます。
大学生とメーカーのディスカッションの場にて。

大学生
大学生
なんでフェアトレードとか、ちゃんと取り組まないんですか?
メーカー
メーカー
いや、やってますやってます。
業界でも一番古くからやってるくらいやってます。
えっと、知らなかったんですか……?
大学生
大学生
え〜、やってるんですね〜。
知ってたらもっと買ってたかも
メーカー
メーカー
え〜!

感想、自分でもやってみようと思ったこと

ファンベースを読んで、自分でも実行してみようと思ったこと、所感は以下のとおりです。

・サークルをnoteでつくり、メンバーでその日やった努力を報告していく。
発信の軸・記事制作のこだわりについて書いた記事をつくる。

・努力の過程を恥ずかしがらずにツイッターなどで見せようと思った。

・ファンベースはエッセンシャル思考に通じるところがある。

まとめ

ここまでの内容を以下にまとめました。

【ファンベースとは?】
ファンを大事に、ベースにし、中長期的に売り上げや価値を上げていく考え方。

【ファンベースが必然な3つの理由とは?】
・ファンは売り上げの大半を支え、伸ばしてくれるから
・ファンを大事にすることが時代背景的に重要になってきているから
・ファンがファンを連れてきてくれるから

【ファンを作るには?】
買ってくれた客を放っておかない
・施策を単発のぶつ切りにせず、明確に流れとして設計する
・全員に好かれようとしない

【ファンの支持をより強くするには?】
・その価値自体をアップさせること
・その価値を、他に代えがたいものにすること
・その価値の提供元の評価・評判をアップさせること

 

「この内容で約900円は正直安すぎだろ…」
と思ってしまうくらい充実した内容でした。

 

福ねこ
福ねこ
この記事書くのに1週間くらいかかったからね。
つかれた(笑)

 

それでいて読みやすい。

Amazonの評価も星4.5を獲得している、オススメの1冊です。

福ねこ
福ねこ
最後まで読んでくれて、どうもありがとう。

 

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